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深い専門性と広い視野を備えた
プロフェッショナルとなる
エネルギートランスフォーメーション研究本部
プラントシステム研究部門

若林 信行

大学時代に取り組んだこと 火山噴火のメカニズム解明に向けたマグマの減圧沸騰挙動に関する研究
入所してから取り組んだテーマ
  • 火力発電所のボイラーの保守に関する研究
  • 石炭火力発電所における各種石炭の運用評価システムの開発

研究の内容

電中研だけの技術による灰付着特性評価試験

石炭火力発電所内のボイラーでは、石炭由来の灰が多く発生します。するとこれが、ボイラーの様々な場所に付着することで詰まってしまうという事象が起こります。灰がトラブルを起こさないようにするにはどうすればいいのか?が、私の研究の目的です。電中研は、発電所を持っていませんが、1時間に石炭を100㎏燃やすことができる燃焼試験炉を持っていて、条件による灰の付着の違いを調べることができます。石炭燃焼試験炉を使った灰の付着に関する評価には、学術的な知識や実際の発電所で起こっている事象の知識が必要で、日本中で提供できるのは基礎現象から実機現象までの広い視点で研究をしている当所だけ。そのため、多くの電力会社や国の機関から試験依頼が寄せられています。現在、評価技術のバージョンアップを行いながら、試験実績を積んでいるところです。

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次のチャレンジ

ビッグデータや人工知能を取り入れて

発電所は止めてはいけない施設ですから、「事前にどんなトラブルがおきるか予測したい」というニーズが電力会社にはあります。そうしたニーズを受けて、ビッグデータや人工知能の活用による、トラブルの事前予測にチャレンジしています。発電所には何千という計測点が備えられており、それぞれが数秒おき数分おきにデータを取得しています。発電所によって違いはありますが、常に蓄積し続けているので、データ量は膨大です。それらのビッグデータに加えて、さらに運転担当者の持つノウハウ、知識をあわせて、人工知能的なものを活用して火力発電所の状態診断をしようという研究に取り組み始めています。最終的にどんなアウトプットを実現するかを議論し、開発プロセスを検討中です。

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スランプの脱出法

自分の基本スタイルに立ち戻る

誰もできなかったことをやり遂げるには、誰もやってこなかったアプローチが必要です。それに誰かと同じことをやっても、存在価値を認めてもらうことはできず、評価されません。常にオリジナリティーを求められる研究者の面白さはそうした点にあります。ただ面白さの反面、どうしていいかわからない状況に陥るのが研究という仕事です。行き詰まった時に有効なのが、いつでも立ち戻れる基本スタイルを持つこと。私の場合は何かというと、手書きの整理作業です。「そもそもなぜ、この研究をやっているか」「明らかなことは何で、わからないことは何なのか」を方眼のノートにブルーブラックのペンで書き出していくうちに、滞っていた思考が再び動き始めます。

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目指す研究者像

ストーリーが描ける研究者へ

スペシャリストか、ゼネラリストかといった言い方がありますが、私がしっくりとくるのはプロフェッショナルという表現です。プロフェッショナルは、専門性の深さと視野の広さの両方を備えた人を指すと思うからです。さらに「軽微で簡単なことから、重大で難しいことまで、何でもこなせる」「この人に相談・依頼をすれば、必ず前に進むことができる答えが返ってくる」…そんな頼もしさもイメージできます。また、先を見据えて準備する力も、私の考えるプロフェッショナルの条件です。研究に対する世の中のニーズは時々刻々と変わり、ある日突然に必要とされる瞬間が来ます。その時にスピーディに答えが出せないと、自分の成果を使ってもらえない世界だと思うからです。

RESEARCH 現在取り組んでいる研究内容
  • 石炭燃焼で発生した灰がボイラー内に付着してトラブルを起こす事象の解明
  • 石炭火力発電所における各種石炭の運用評価システムの開発
  • 人工知能やビッグデータ解析技術を活用した発電所の異常予知技術の開発
エネルギートランスフォーメーション研究本部 電力中央研究所の主要な研究成果や事業活動等について
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