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学問というステージで
世界と楽しく競い合う
サステナブルシステム研究本部
気象・流体科学研究部門

大庭 雅道

大学時代に取り組んだこと 気候の形成と変動(エルニーニョ・南方振動等)のモデル化、シミュレーションによる研究
入所してから取り組んだテーマ
  • 異常気象/災害気候時の気象場の解析
  • 大気海洋結合モデルによる気候変動シミュレーション
  • 極端現象等の予測可能性・確率予測に関する研究
  • 風力エネルギー気候・再生可能エネルギー予測

研究のやりがい

未来に必須の備え

風力・太陽光等の再生可能エネルギーは、地球温暖化対策の鍵を握る存在です。日本では風力発電の導入は進んでいませんが、今後、大幅に増えていくことが見込まれます。風力発電の問題は、気象条件によって発電出力が大きく変動することです。
電気は発電した分をそのときに使う、つまり需給を一致させる必要があるため、このような出力変動を吸収するために、揚水発電や火力発電を調整してバランスをとらねばなりません。その調整を無駄無く行うために、風力・太陽光発電の出力の高精度な予測が求められるのです。私が担当する風力発電の出力変動予測研究では、出力急変等による予測大外しの問題が顕在化したところ。欧米に比べて随分遅れをとっている状況に焦りながらも、未来の社会に必須の備えとして、やりがいを感じています。

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研究活動の苦労

新しい分野への転換を遂げる

大学時代から全球気候シミュレーション(地球大気海洋丸ごとシミュレーション)を専門としてやってきました。ところがこちらの研究所に入って間もなく、研究に対するニーズが変化したことにより、仕事の転換を迫られることになりました。どうしようかと悩んでいた時、所内の他分野の研究者から、自分の得意とする気候・気象予測解析をダムの運用に役立てる研究をやらないかという提案がありました。このことがきっかけで、気候とエネルギーの中間にある現在の研究テーマと出会いました。もともと学際的な領域には、面白味を感じていました。とはいえ最初の1~2年は論文が出なくて、辛い思いも…。でも今は、少しずつ業績を上げられるようになり、論文も引用してもらえるようになっています。

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研究の未来

再生可能エネルギーの発電予測システムへ

現状では、再生可能エネルギーの発電量に合わせた火力発電の運用を行うために、数時間先までの発電量予測データを購入して、それを横目で睨みながら合わせていくというやり方をとっています。こうした作業は、将来的には自動化することが考えられます。現場で活用できる再生可能エネルギーの発電予測システムというわけですが、その実現は、10年スパンの課題となると思われます。最適な需給調整のためには、予測情報の在り方やその出し方について様々な視点が必要で、私のような気象の専門家だけの検討範囲を越えます。そこで、所内の情報数理の専門家にも協力してもらいながら、最適な予測システムの構築を目指しています。

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将来の目標

世界で引用される研究者に

エネルギー気象予測という分野は、日本では「まだまだこれから」という状況ですが、欧米の欧州気象学会では、エネルギー気象学という分野として大きなポジションを確立しています。さらに、風力発電の予測の研究への注目度も非常に高く、セッション発表のテーマとしても一番大きく扱われていたりします。そうした海外の学会に積極的に参加し、自分の研究成果を発信していくことは、研究者として重要な仕事です。自分の研究論文が、海外の研究者に「いいね!」といってもらい、理解してもらい、そして引用してもらうことで、次のステップが生まれていく。それは、研究者としての醍醐味です。学問という場を舞台に世界の研究者たちと協力し合い、これからも楽しく競い合っていきたいと思います。

RESEARCH 現在取り組んでいる研究内容
  • 風力発電の出力変動要因の分析や確率予測手法
  • 極端現象予測のためのモデル開発
サステナブルシステム研究本部 電力中央研究所の主要な研究成果や事業活動等について
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