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異分野の研修者から
「議論に招かれる存在」に
社会経済研究所

古澤 健

大学時代に取り組んだこと 競争環境下における需要家設置の分散型電源を考慮した電力システムの計画・運用に関する研究
入所してから取り組んだテーマ
  • 送電制約によるアデカシーの変化の評価
  • 再生可能エネルギーの供給能力評価手法調査
  • 欧州の需給調整メカニズムの動向調査

研究の内容

欧州の送電システムを調査

欧州における電力の需給調整メカニズムの調査に取り組んでいます。隣国とも送電線がつながるオープンな送電システムをとる欧州。一方、日本は、各電気事業者が責任を持って自分のエリアをカバーするというシステムを取ってきました。それぞれメリット・デメリットがあり、たとえば事故の時に、欧州は送電線がつながっているので影響が広がりやすく、日本は事故の影響が局所的になります。
今、日本では発電と送電を1社で担う「垂直統合型」のシステムから欧州に見られるような「発送電分離型」へと移行する動きがあります。そうした中で、欧州のシステムを参考にすることが有効と考えられるわけですが、そのまま日本へ持ってくることは不可能です。どんな背景や理由があって、そうなったのか。各国の電力システムの歴史を調査し紐解いたうえで、「このポイントについては使える」「ここは使えない」と判断しなくては、失敗につながります。

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電中研との出会い

電力中央研究所報告を手にとって

初めて知ったのは、大学の図書館だったでしょうか。電中研の報告書がたくさん並んでいて、その中に、現在所属する社会経済研究所の報告書がありました。手に取ってみると、二人の研究員によって書かれた送電料金のレポートで、それを読んで非常に感銘を受けました。難しいことを難しく表すのでなく、専門的な内容が学生の私にもわかりやすく書いてあり、すごく勉強になったからです。また、学生時代から所属していた電気学会での電中研の印象も関心を深めるきっかけになりました。高度な研究に取り組むだけでなく、常に前向きに挑戦する姿勢を目の当たりにし、「自分も電中研へ入りたい」と思うようになりました。

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研究のやりがい

自分の研究成果が議論の種に

自分の研究や調査結果が、他の研究者の皆さんの議論の種になったり、国の政策に影響するような審議会で資料として使われたりする。それは、研究者としての大きな喜びのひとつです。2009年~2011年に取り組んだ「再生可能エネルギーの供給能力評価手法」のテーマでは、電力会社、大学教授等様々な方面の皆さんから、「そうした視点があったのだね」という納得の声をいただくことができました。「欧州の需給調整メカニズムの調査」のテーマについても、電力自由化等を背景に設立された経済産業省の「電力・ガス取引監視等委員会」において、私の報告書の内容がそのままスライド資料に引用されるという、大変誇らしい体験をすることができました。

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目指す研究者像

議論を橋渡しする存在に

自分の視野を広げるために、エンジニア、経済学者、法律家等社会経済研究所内のいろいろな方との議論に積極的に参加したい。そして議論の場においては、橋渡し役となりたい。そう心がけています。異分野の専門家たちが、自分の考え方をそれぞれの分野の言語でぶつけあってしまうと、議論が前に進まない恐れがあるからです。 目標とするのは、「議論に招かれる研究者」です。「この議論をするには、ここの部分をわかっている研究者が要るが、古澤だったらきちんとカバーしてくれる」と認められること。たとえば新しい電力系統の議論をする時に、「再生可能エネルギーを大量に導入するための新しい日本の系統運用を考えるなら、欧米の仕組みにも精通した古澤を呼ぼう」と言ってもらえるようになりたいと思います。

RESEARCH 現在取り組んでいる研究内容
  • 送配電の系統利用料金に関する動向調査
社会経済研究所 電力中央研究所の主要な研究成果や事業活動等について
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