
趣味や家族との時間が
研究への原動力になる。
南島 晋
エネルギートランスフォーメーション研究本部エネルギー化学研究部門
水化学ユニット 研究推進マネージャー 兼
研究統括室

熱意に惹かれ入所を決意。
取り組むのはオンリーワンの研究。
学生時代は、金属材料の高温腐食の研究に取り組んでいました。博士課程への進学を検討していたのですが、同じ頃電力中央研究所(以降、電中研)では高温腐食の研究者を探しており、指導教官を通じて私に声がかかったことがきっかけです。のちに上司になる方の熱意と期待の大きさに惹かれて入所を決めました。
入所以降私が取り組んできたのは、火力発電ボイラ構造材料の高温腐食による損傷評価と寿命予測です。火力発電では燃料が燃えた後にできる硫黄などを含んだ高温のガスによりボイラ内の金属材料が腐食します。この挙動についてラボ実験や全国各地の発電所調査などを用いて長年に渡り研究してきました。世界的にこの分野の専門家は少なく、所内では研究開始時点で私一人でした。この「オンリーワン」の状況こそが使命感につながっています。私以外にも、電中研は高い専門性を持ったオンリーワンの研究者ばかりです。意識を高く持ちながら、大きな裁量と自由な発想で研究に打ち込める組織だと思います。

研究一筋から新たな挑戦へ。
未知の経験が成長につながる。
研究一筋だった私ですが、2018年からは本部企画グループに所属し、電中研全体の研究計画やリソースなどを策定するチームのメンバーになりました。また、2021年からの2年間は、電気事業の円滑な運営を目的に活動する団体に出向し電力業界の技術発展について議論する経験も得ました。目の前の研究だけに向き合う業務とは異なり、電中研のみならず社会や業界全体を俯瞰しながら、個々の研究内容を把握する、いわば経営目線が求められるこの仕事。この経験によって視野が大きく広がったことを実感しており、現在チームのマネジメントをするうえでも非常に役に立っています。
また、学生時代に取得を考えていた博士号も入所後に取得することができましたし、1年間ドイツの研究機関に長期出張して研鑽したいという希望も叶いました。電中研には新たなチャレンジを応援してくれる環境があると考えています。自身の興味や成長を重視した働き方ができることも大きな魅力ですね。

スポーツや海外生活を通じて学んだ
オンとオフのリセット術。
今、趣味ではまっているのはウインドサーフィンです。私はもともと運動が好きで、趣味で研究の傍らサッカーやアイスホッケーなどのチームスポーツを楽しんでいました。ところが、2020年春からのコロナ禍でチーム活動は休止。何か一人でできるスポーツがないかを探してたどり着きました。のんびり風まかせに進むのが私のスタイル。頬を伝う風が気持ちいいですし、広い海の上での開放感から新たな研究のアイデアが舞い降りてくることもあります。今は、サッカーやアイスホッケーの活動も再開しているのですが、そこでは、普段の仕事では関わらない方との出会いがあります。その出会いが、新たな発想やコラボレーションのきっかけになることもあり、オフを充実させることがオンの時間にも好影響を及ぼしています。また、ドイツでの長期出張時に接した現地の研究者たちは「仕事の時間はここまで」と決めてその分集中して取り組み、時間が来ると趣味や食事会を楽しみます。この切り替えも、いい仕事を生むルーティンだと感じています。

家族の幸福なしには
研究は成り立たない。
横須賀地区で勤務する私は、研究所に近い逗子・葉山エリアで家族と暮らしています。逗子・葉山エリアは山と海の両方に囲まれ、週末は磯遊びやマリンスポーツ、野山ハイキングなど家族と一緒にアウトドアで目いっぱい楽しめます。近くの海岸の夏は海水浴客や海の家でとても賑やかですが、シーズンオフは仲良く犬の散歩をする老夫婦や、ウォーキングする家族連れでほのぼのします。また都内有名店などで修業された料理人が個人で開業された、美味しくてお洒落な飲食店も多く、家族との食事場所に困りません。家族共々とても暮らしやすい土地だと感じています。
研究者である前に、夫として父として、家族の幸福を最優先に生きていきたいと考えています。そのためには、時間的・精神的な「ゆとり」が欠かせません。「ゆとり」のおかげで長い時間、穏やかな気持ちでもって家族と過ごすことができ、それが家族の幸せに繋がると信じています。自然あふれる逗子・葉山エリアでの生活と、自由と個人裁量が認められる電中研の雰囲気の中で、私は今、時間と心の「ゆとり」を感じることができています。