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キャリア採用座談会

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    HARUKA CHIDA 千田 はるか
    〈前職〉 国家公務員
    〈現在〉 企画グループ 研究企画班
    主任
    2023年入所
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    SHIGERU BANDO 坂東 茂
    〈前職〉 国立大学 教員
    〈現在〉 グリッドイノベーション研究本部
    ENIC研究部門
    研究推進マネージャー 兼
    社会経済研究所
    上席研究員
    2010年入所
  • 川﨑航太のサムネイル写真
    KOTA KAWASAKI 川﨑 航太
    〈前職〉 エンジニアリング企業
    〈現在〉 グリッドイノベーション研究本部
    ネットワーク技術研究部門
    主任研究員
    2023年入所

前職での仕事や研究を教えてください。

坂東

国立大学で計5年間、教員として働いていました。いわゆるプロジェクト採用という雇用形態で、5年間の任期の中で決められたテーマで研究に取り組みつつ、講義や実験の担当もありました。当時の研究テーマは分散型エネルギーシステムについてです。

川﨑

エンジニアリング企業に新卒で入社し、ごみ焼却場などのプラント監視制御システムの開発・設計業務に4年間従事していました。1つのシステムの開発に年単位の時間がかかるような、骨太な仕事が多かったですね。

坂東

では川﨑さんは、前職では研究を行ってはいなかった?

川﨑

そうなんです。社会課題の解決に貢献したいという思いは強く、新卒で研究者になるという選択肢もありましたが、学生時代に取り組んでいた分野からさらに領域を広げ、その中から自分の得意分野を見極めて専門家を目指したいと考えていました。制御システムのエンジニアなら情報通信や電気制御など幅広い分野に関われるため、まずはそのような企業で経験を積み、自身の適性を探そうという方針で就職を決めました。

千田

中央省庁で科学技術の振興のための国としての方針や予算などを決める仕事をしていました。具体的な業務としては、国立の研究機関の各年度の予算の検討・調整や競争的研究費の制度の運用・検討です。国家としての方針や社会情勢を、各研究所の研究内容と照らし合わせながら研究所の中長期的な目標の策定等にも取り組みました。5年、7年という期間で、研究所に期待する目標をまとめ、納得いただける形で共有します。各研究所が目標を達成するために国としてはどのような制度や支援が必要なのかを検討し、実装していくような業務も経験しました。

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電中研に興味を持った理由や
選んだ決め手は何ですか。

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坂東

大学は5年間の任期付きで、この「任期」に対して両親が不安を抱いており、自分自身も長く働ける環境を求めていたため、その視点で次の職場を探していました。また、大学は自分が研究できるテーマが限られており、教員としての学生へのマネジメント業務も発生します。もちろんやりがいのある仕事ですが、私はもう少し研究に集中したいと考えていました。電中研との出会いは、当時の上司がきっかけです。その方は電中研所属の客員教授で、その方を通して電中研の研究者と触れ合う機会が何度かありました。会う人みんなが明るくて、すごくフラットな関係に見えました。なんというか、個人商店の店主がワイワイと集う「商店街の組合」のような組織に見えましたね。いい研究を行うには、様々な専門家が集まって物事を明らかにしていくものであり、議論は必要不可欠。このフラットな組織なら、自由闊達に議論をして、いい成果を出していけそうだと考え志望しました。

川﨑

所内でもよく「個人商店の集まり」と表現されていますよね。私は冒頭に話したとおり、新卒では制御システムのエンジニアになったのですが、やはり一般企業は営利が最優先。業務を通して解決できる課題には限界があります。特に、前職のビジネスモデルは、受注した仕事に対して最適なシステムを提供し収益を上げる形でした。もちろん社会にとって必要な仕事ですが、私はもっとミッションクリティカルな社会課題の解決に挑みたく、研究者への転身を決めました。電中研は、社会貢献の側面で十分な成果を残しており、学位(博士)取得に伴う支援があることも魅力でしたね。

千田

日本の研究力を向上させるための制度や施策をつくることには非常にやりがいを感じていました。一方で中央省庁は異動が多く、私が担当した制度が、実際にどのように利用され、どのような成果につながっていくのかを見届けられないまま、業務を離れることがあったのも事実。もう少し研究者に近い距離で支援をしていきたいと考え、研究所への転職を志望しました。電中研へ入所したのは、電気事業という現場の課題解決に真摯に取り組む一流の研究者に対して、支援できることが魅力だったからです。

現在の仕事内容について教えてください。

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川﨑

IEC 61850という国際標準を国内変電所に適用するための研究をしています。変電所を含む電力流通システムが正常に稼働するためには、一つの装置だけでは完結せず、さまざまな装置が相互に連係して動作する必要があります。近年では通信ネットワークを介して連係が行われるようになってきており,その際のルールを定めているのがIEC 61850となります。IEC 61850は国内変電所にも適用され始めているのですが、国際標準で国内要件を全て満たせるわけではなく、まだまだ課題が山積みですので、電力会社・メーカと共同で研究を進めています。

千田

企画グループで、中長期的な研究戦略の立案や外部資金獲得の支援業務を行っています。研究戦略は、社会情勢や電力会社からのニーズを踏まえて、所内の各研究部署と連携して立案します。私たちは電力会社から費用をいただいて研究に取り組みますが、それだけで全てを賄えるわけではありません。つまり計画を立案しても実行できるかは別問題。そこで、外部機関や国との調整を行い、資金を獲得していきます。また最近では、中期経営計画の策定にも携わりました。経営層の想いを形にするとともに、研究者にとっても気持ちよく働けるような将来像を描き、計画に落とし込みました。

坂東

私は、VPP(仮想発電所:バーチャルパワープラント)やデマンドレスポンスという技術を研究しています。電力には需要と供給があります。例えばみんなが寝ている夜中は需要が低いですが、家に帰ってきて料理やゲームをする夕方は需要が高い。この需要と供給のバランスは時間単位、分単位、秒単位でも調整されているのですが、私は、需要家さんが所有する電力消費機器の消費電力を上げ下げして、再エネの出力に全体として合わせこもうとする研究に取り組んでいます。

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仕事のやりがいはなんですか?

千田

電中研はその名の通り電力の中央研究所であり、かつ個社に属する研究所ではない、公平性・第三者性を持つ学術研究機関です。大学とも国立研究所とも違う唯一無二の研究所には、どんな計画や制度が必要なのか。前職で関わってきた国の研究所の事例なども参考にしながら研究成果の最大化のための仕組みを考え、それを実際に試してみることができるのは、非常に面白いですね。

川﨑

電中研の創設者である松永安左エ門の理念「産業研究は知徳の練磨であり、もって社会に貢献すべきである。」が大好きなんです。千田さんの話にもあったように、電中研は公平性・第三者性を持つ学術研究機関。営利のためではなく、社会貢献のために研究に打ち込めるのは大きなやりがいですね。

坂東

普段の研究で成果を出せたときもやりがいを感じますが、所内の異分野の研究者とのコラボレーションが実現したときはなおさら嬉しいですね、例えば、農学の第一人者の方とのプロジェクトでは、宮古島の植物工場で、デマンドレスポンスを応用したゼロエミッションのレタスをつくりました。宮古島は観光が主要産業で、ホテルなどでのレタスの需要が高い。ところが、露地栽培できる時期は1か月程度に限られています。この研究を応用して工場で栽培することで年中出荷ができ、ゼロエミッションなため環境にも優しい。コラボレーションで社会のニーズに応えられることは、非常に楽しく幸せですね。

入所してから能力や考え方に
変化はありましたか?

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坂東

研究における市場調査のため、アンケート作成やインタビューを行うのですが、これは大学教員時代には一度も経験しなかったことですね。研究の実務とは全然毛色が違う仕事ですが、「問いの立て方」「聞き方」という側面で新たなノウハウが身につきました。

川﨑

変化というより入所前の想像と異なった部分ですが、思ったより所内や外部とのコミュニケーションが多いですね。私は研究室で一人もくもくと考え込むタイプではないので、これは良いギャップでした。

千田

電中研では新しいことを学ぶ機会が多いので、新たな知見は常に身につきますね。最近ですと、外部の講師を招いて「シナリオプランニング」という考え方を学んでいます。組織を取り巻く社会情勢が今後どのように変化し得るか複数のケースを考え、その中で、電中研は将来どのような取り組みが必要になってくるか考えるという手法です。さまざまなセミナーや研修を通して新たな知識を身につけられることも電中研の魅力だと思います。

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最後に入所を考えている方に
メッセージをお願いします。

坂東

私は大学からの転職ですので、主に大学で働いている方へ向けてのメッセージです。おそらく教員から転職を考えている方は、自分の研究で実績を出したいけど講義や学生の指導でなかなか時間が取れていないという理由が多いのではないでしょうか?その点電中研は、自分の興味がある分野に思いっきり没頭することができます。また、中長期的な視点での研究に取り組めるため、短期の成果にそこまでこだわる必要もありません。環境を変えたい方は思い切って飛び込んでみてください。

川﨑

電中研は中長期的な視点で社会課題を解決するための研究に取り組むことができ、電力会社や企業を通した社会実装にもつなげられることが魅力です。「産業研究は知徳の練磨であり、もって社会に貢献すべきである」に共感してくださる方をぜひお待ちしています。

千田

電中研は多様な人材を受け入れる土壌があると感じています。私自身も省庁出身で、経歴だけ見ると異分子ですが、それをユニークと捉えて評価してくれています。多様なバックグラウンドを持つ人の考え方を受け入れ、活かす風土を持つ職場で、ぜひあなたも輝いてください。