世界初の一翼

CO2を利用した家庭用給湯ヒートポンプである「エコキュート」。使っている方も少なくないと思いますが、原理としては空気中の大気の熱をくみ上げ、その熱を効率よく水に移してお湯を作るもので、この時に熱を運ぶ役割を果たすのがCO2。このヒートポンプの原理を生かした給湯器なら、従来のものと比べるとはるかに少ないエネルギーでお湯が沸かせます。もともとはノルウェーなどヨーロッパで研究が始まったのですが、家庭用として世界初の装置を開発したのは電中研と東京電力、デンソーによる共同研究チームで2001年のこと。電中研は生みの親の一人としてその一翼を担ったのです。

三度目の正直の果て

開発までは難路続きでした。研究は1984年に始まりましたが、二度の断念を余儀なくされ、1995年から自然冷媒のCO2を使った研究に着手。CO2の伝熱特性の解明やヒートポンプの運転制御に関するノウハウを蓄積し、これをもとに1998年から実用機の開発を始めたわけです。ある意味、三度目の正直で開発に成功したわけで、どんなにハードルが高くてもあきらめてはいけない、テーマを絞って粘り強く研究を重ねることの重要性が示された案件でもありました。発売後、「エコキュート」は着実に普及が進み、2016年3月に500万台を突破しました。

育ての親でもある

世界で初めて送り出した「エコキュート」ですが、研究が終わったわけではありません。課題があります。まずは小型化とコストダウン。いろんな場所に設置できるようにするにはさらにコンパクトにする必要があります。そして、もう一つが寒冷地対応。寒冷地でも十分な性能が発揮されるよう、低温域での性能評価が求められており、電中研では所内に「ヒートポンプ性能評価試験設備」を設置し、開発された新しいエコキュートの性能評価を進めています。さらなる高効率を実現する基礎基盤技術の研究にも着手しており、画期的なヒートポンプシステムへ、育て上げる取り組みを進めています。

エネルギーイノベーション創発センター

電気事業における熱利用をテーマとして、大規模電源である火力発電に関わる技術開発および電気を使う側での高効率な熱利用システム・機器の開発を行い、セキュリティ性の高いエネルギー社会が安定的に発展することに貢献する研究を行っています。